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『就職先は海上自衛隊』 時武ぼたん 著 [読書録]

本来なら今頃、製作中のケンメリGT-R(プラモ)の塗装の様子を記事にしているはずだったのですが生憎雨の日が続いている青森、湿度もほぼ100%ということでエアブラシでの塗装作業はできません[あせあせ(飛び散る汗)](エアブラシ塗装に高湿度は大敵なんです)

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今月末までは降ったりやんだりの天気のようですがタイミングをみて塗装作業はしたいところです。
前回悩んでいたボディ色の”白”も試してみたいカラーが見つかりました。
それにしても寒いです。
この記事をUPしている時間帯は外気温は18度ほどで家の中でも半袖短パンだとちょっと肌寒いのでパーカーを羽織って記事を書いています。
この予報通りだともう扇風機も使わずに済みそうですね
ニトリでリビング用の長方形コタツを買い替えました。(展示品現品処分特価)
配送は10月初旬にしてもらいましたがこの分だと年老いた母親はいきなりこたつ布団をセットして使い出しそうです。
さて今回は夏になる前に読んだ本のご紹介です。

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時武ぼたん 著『就職先は海上自衛隊』(潮書房光人文庫)
女性士官候補生誕生

自衛隊には防衛大学校という文字通りエリート幹部の養成校があるのはよく知られていますが文字通りの超難関校です。
毎年卒業シーズンになると防大卒の学生が何人任官拒否(民間就職)したかなんてニュースが流れますね
現在の自衛隊幹部の経歴を眺めると圧倒的に防衛大学校第〇〇期卒と記載のありケースが圧倒的に多く防大卒というのが間違いなく幹部への道の第一歩だということが分かります。

しかし、防大ルート以外にも幹部候補になれるコースがあります。
一般の4年制大学を卒業して試験・面接を経て防大卒の学生(一般幹部候補生課程Ⅰ課程)と一緒に自衛隊の幹部候補生学校に入校するという道です。【
一般幹部候補生課程Ⅱ課程】

自衛隊で「幹部」というのは3尉(少尉)以上のことで幹部候補生学校に入学して1年間研鑽を積み卒業と同時にいきなり尉官である3等海尉として任官することになります。

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海上自衛隊の場合この幹部候補生学校は”戦中の海軍兵学校”で有名な江田島に現在もあります。


この本の著者は一般4年制大学(明治大)しかも文系(専攻は日本の古典文学)から海自の幹部候補生学校の士難関試験を突破・・しかし体力には自信がなく(虚弱体質)でしかもカナヅチ[たらーっ(汗)]
就職活動のなかで海上自衛隊のあの白い制服に憧れて入隊といった面接では正直に答えられないようなちょっとあぶなかっしいミーハーな志望動機を持った人物。
多少のミリオタ程度の知識もなく自衛隊内での時間の読み方(午後6時1800:ひとはちまるまる)すらも知らずにやって来てしまって本当に大丈夫?やっていけるの?とかなり不安になりながら読み始めました。

泳げないのに海上自衛官に?
同じくカナヅチの自分としては本書の内容で一番気になる点がこの”泳げない”という最大の難関をどう女性である著者が克服したのか(するのか)?でした。
もちろん海上自衛隊の幹部候補生学校では”全くのカナヅチ”のままでは卒業できません。
というのも江田島の幹部候補生学校には”15kmの遠泳訓練”というと海軍兵学校時代から100年続いている名物の伝統行事があります。
(肉体的にきついのは実は陸上での戦闘訓練なのだそうですが)

乗艦した船が沈没して海に飛び込んだ時に一番近い陸地まで泳ぎ切る泳力をつけるのが目的でなぜ約8マイル(約15km)なのかは確か本書の中に書いてあったような気もしますが図書館で借りてきた本だったので今では詳細を確認できません。

遠泳訓練は学校前の海から沖にある折り返しポイントを目指して隊列を組んで泳ぎます。
早さを競う訓練ではありません。
泳力の有るものがようやく泳げるようになった者を支えながら泳ぎ切るのです。
途中では海に浮かびながら休息や食事(伴走船につかまりながら)をとって8時間の行程だそうです。
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実際に入校時には全く”泳げない”という学生もいるそうですがプールでの練習や泳ぎが達者な同期が教えてくれたりしてある程度は泳げるようになるようです。
あとはそれこそ根性で泳ぎ切るのみ
この本の中でも頻繁に出てくる短艇(カッター)訓練(これは早さを競う)とこの遠泳訓練は最大の読み物です。
著者もこの遠泳訓練を無事に泳ぎ切りました。
(泳げなけらば卒業できないのでネタバレにはならないと思います)

江田島での学生生活はそれこそ自衛隊員として毎月給料をもらっているとはいえ厳しく管理された生活の中で日々訓練と試験の毎日が続きます。
指導教官役の”赤鬼”や”青鬼”も登場して一般的な生活の中では理不尽と思えるような”しごき”にも耐えながら卒業へと向かう姿は往年のTVドラマ”スチワーデス物語”の1000倍くらい厳しそう[あせあせ(飛び散る汗)]
著者は卒業後は
女性海上自衛官”WAVE”として初めて世界一周の遠洋練習航海に参加することになりますが本書で語られているのは江田島での学生生活までで恐らく続編も刊行されるような雰囲気です。
退官後はこのように著者が自衛官になる前の夢であった小説家となられています。
なんかそう考えるととてつもなく凄い人だなぁ~
文体も読みやすいのでどなたにでもお勧めできます。
江田島での生活はYoutubeでもたくさん動画としてUPされているのでもしご興味があったらご視聴を・・さらに詳しく知りたいのであれば本書を一読されたし。

ウェーブ (ゴールデン・エレファント賞シリーズ)

ウェーブ (ゴールデン・エレファント賞シリーズ)

  • 作者: 時武 ぼたん
  • 出版社/メーカー: エイ出版社
  • 発売日: 2014/06/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
就職先は海上自衛隊 女性「士官候補生」誕生

就職先は海上自衛隊 女性「士官候補生」誕生

  • 作者: 時武ぼたん
  • 出版社/メーカー: 潮書房光人新社
  • 発売日: 2019/02/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

自宅から海自の大湊基地が近いのでイベントや艦艇見学会などで海自の幹部の方々にお会いしたりお話したりする機会があるのですが皆さんこのように江田島での厳しい学生時代を過ごされた方々なんだなぁと思うと本当に頭が下がる思いです。
また現在、海自大湊基地には大湊地方総監部幕僚長として海自で女性初の幕僚長が就任されています。
現在海将補(少将)ということで海自の女性自衛官の最高位だそうです。
その方もまた4年制大学卒で幹部になられた方なので本作の著者と同じような経験を経たのだと思います。

海上自衛隊幹部候補生学校『五誓』

一 至誠に悖(もと)るなかりしか
〔誠実さや真心、人の道に背くところはなかったか〕

二 言行に恥づるなかりしか
〔発言や行動に、過ちや反省するところはなかったか〕

三 気力に欠くるなかりしか
〔物事を成し遂げようとする精神力は、十分であったか〕

四 努力に憾(うら)みなかりしか
〔目的を達成するために、惜しみなく努力したか〕

五 不精に亘(わた)るなかりしか
〔怠けたり、面倒くさがったりしたことはなかったか〕

自分には特に5か条目が耳に痛いですね[ふらふら]

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第二次大戦・北方の戦史をしりたい [読書録]

本当は8月中に読破したかったのですが・・・
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『陸軍中将 樋口季一郎の遺訓』(勉誠出版)
           樋口隆一 著


樋口季一郎という人物をどれほどの人が知っているのかなぁ?
まぁ自分もつい最近知ったのですけど・・
本のタイトルの副題にあるように”ユダヤ難民と北海道を救った将軍”と呼ばれています。

”ユダヤ難民を救った”・・・
第二次大戦中にユダヤ難民を救った日本人といえば”命のビザ”で世界的にも有名になった外交官・杉原千畝さんがすぐに思い浮かぶと思います。
しかし陸軍の樋口季一郎中将も戦時中に日本の同盟国であるドイツからの迫害を逃れて満州国境にやって来た多くのユダヤ難民に対し満州国への入国を上層部に認めさ第三国への亡命のための手助けをしました。
軍人という立場では同盟国ドイツとの関係もあり難しい判断だったはずですが彼のユダヤ民族への博愛精神が彼を突き動かしたのです。
日本人よりもユダヤ人の間では有名な存在のようです。
(この本を読むと当時の日本人の間でもユダヤ難民に対する理解と保護の意識をもった人はかなりいたようです)

”北海道を救った”・・・
陸軍で北海道を含む北部(樺太・千島)の軍事的責任者であった樋口は有名なキスカ島撤退作戦の陸軍側の指揮官でもあり日本の敗戦日以降も続くソビエトの日本の北方地域進攻に対し現地居留民の北海道への避難のため迫りくるソビエト軍に対し残存兵力での抗戦を指揮しました。
終戦の日(8月15日)以降もこうした戦争状態が続いていたという事実は意外と知られていないようです。
ソビエトの指導者・スターリンはアメリカに対して北海道の半分以北、あるいは東北以北と首都東京の分割統治までをアメリカに要求していて既成事実を作るため8月15日以降も北方の日本の
領土に侵攻を続けました。
この攻防で多くの兵士、民間人が命を落とし捕虜となった兵士には以後辛いシベリア抑留が待っていました。
結局は樋口らの徹底抗戦に遭いソビエト軍の北海道上陸は果たせず結果的に北海道は戦後も日本の領土として守られました。

この本を書いた樋口隆一氏は私の母校・明治学院大の教授職に就かれている方で樋口季一郎のお孫さんです。
樋口季一郎についての文献は数々出版されていて本人の書き残した手記も書籍化されていますが今回新たに発見された手記も載せてお孫さんである著者が彼の生涯をまとめた1冊を書き上げました。(樋口季一郎に関する書籍で最新でほぼ完璧な一冊になっています)

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県立図書館のオンライン貸し出しサービスでこの本を借りたのでこれほどボリュームのあるものとは思いませんでした。(栞の挟んであるページまでしか読み切れていません)
とりあえず樋口季一郎の生涯をまとめた章は読み終えましたが続く季一郎が書き残した手記の部分はどうやら貸出期限の再々延長でも読み切れるか怪しくなってきました。
戦後に書き残された手記といえども軍人だった人が書いた文体なので自分にはちょっと読みにくい(時間がかかる)ので一旦返却して後日借り直そうか思案中です。
北方領土関係の当事者としての回顧録(手記)や所信が書かれている章もあるようなのでそこまでは読み終えたいのですが・・
陸軍中将 樋口季一郎の遺訓ーユダヤ難民と北海道を救った将軍

陸軍中将 樋口季一郎の遺訓ーユダヤ難民と北海道を救った将軍

  • 作者: 樋口隆一
  • 出版社/メーカー: 勉誠出版
  • 発売日: 2020/04/02
  • メディア: 単行本


そうそう私が樋口季一郎を知るきっかけになったのが北太平洋アリューシャン島しょの攻防戦(アッツ島玉砕・キスカ島救出作戦)です。

特にキスカ島からの日本軍の奇跡の撤退作戦については書籍でじっくり読みたいと思い古本ですがこちらの書籍を入手。

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日本海軍と陸軍の共同作戦で太平洋戦争史上他に例を見ない大成功を挙げたのがキスカ撤退作戦です。

ガダルカナル島をはじめとする南方戦線に比べて今の日本人にあまり知られていない北方の攻防戦のなかで日本軍が死守するアッツ・キスカの両島での米軍との戦いで全員玉砕した悲劇のアッツ島(”玉砕”というフレーズが初めて使われた悲劇)と全員の撤退作戦が完璧になされたキスカ島(米軍をもって”パーフェクト”と言わしめた作戦)。

キスカの奇跡の撤退作戦を海軍側の指揮官・木村昌福提督の伝記が本書です。
陸軍側の視点では前出の樋口季一郎の手記に詳細が書かれている模様。
この2冊を読めば奇跡の作戦の詳細が分かるかも・・と、こんな風にえらそうに書いたけどまだ未読[あせあせ(飛び散る汗)](ごめんんさい)

キスカ撤退の指揮者 (光人社NF文庫)

キスカ撤退の指揮者 (光人社NF文庫)

  • 作者: 泰浩, 将口
  • 出版社/メーカー: 潮書房光人新社
  • 発売日: 2019/06/24
  • メディア: 文庫
文庫版とはいえ細かい字で読むのに苦戦しそうなので
書店でタイミングよく雑誌『歴史群像』でキスカ島撤退作戦が特集されていたので買い求めました。

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キスカ島の特集の他に戦国大名の細川藤孝の記事も読めるので買ってよかった。
大河ドラマ『麒麟がくる』では俳優の眞島秀和さんが演じていますね。
彼は戦国の世を生き抜いて江戸時代に肥後藩の細川家の租となった人物。

更に私がここ数年の間で『歴史群像』を書店で新品で買ったのは決まってこのボードゲームが付録になった号です。

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最近はボードゲームが再び人気なんだとか・・
高校~大学のころはこうした趣味レーションゲーム(ウォーゲーム)が流行った時期でした。(のちにPCゲームでのコンピュータ対戦型ゲームにとってかわられてしまった)
ルールブックを読み理解したうえで盤(紙製)上の地形を再現したMAP上を敵味方に分かれてコマを動かしさいころの目で勝敗を決めるというアナログの極みのようなゲームですが実際にテーマとなっている戦場(作戦)についての予備知識がないと楽しめません。
私も歴史群像の付録のシュミレーションゲームを3つ持っていますがなかなか対戦相手が周囲に居ないので実際にプレイしたことはないです。
今回の付録ゲームのテーマはノルマンディです。



歴史群像 2020年8月号 [雑誌]

歴史群像 2020年8月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: ワン・パブリッシング
  • 発売日: 2020/07/06
  • メディア: Kindle版


話が脱線しましたが太平洋戦争での北方での戦いというのは米軍相手の戦闘以外では相手がソビエト軍ということで共産主義の秘密のベールによって当時の戦況・史実というものが不透明なのですが”返せ(還れ)北方領土”と声高に言い続けても一向に埒が明かないのでもう少し我々も歴史的背景を勉強してから考えてみた方が良いのだと思います。
安倍首相も当初は北方領土問題の解決に道筋を付けたいと意気込みを見せていましたが・・・


どうも自分は戦中戦前の樺太とか極東ロシアの話が無性に好きなようです。
尼港事件とか・・・知っている人少なさそう[たらーっ(汗)]


駄文・長文失礼しました。

タグ:キスカ
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台湾ドーナツとドラマ [読書録]

先月のことですがローソンで台湾ドーナツが期間限定で売られていました。

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昨年、店内ベーカリーがあるスーパーの店頭で”台湾ドーナツ”なるものを買って食べて以来の、虜になってしまいましたがどうしたものかそのお店では継続販売(製造)してくれなくなってベーカリー―担当の店員さんを捕まえては熱心に再販売の要望を伝えています。(ちょっとした迷惑客と思われているかも?)

台湾ドーナツは薄皮の表面がカリカリに揚がっているのに中はふんわり柔らかで甘さもちょうどいい感じです。
ぜひ本場台湾のお店で食べてみたい逸品なのですがまさかのローソン店頭で買えるとは・・

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まぁ本場の味を知っているわけではないので比較なんてできませんが以前、件のスーパーで買って食べたのとほぼ同じ食感でした。
田舎に住んでいるので一番最寄りの商店というのがローソンということで棚に並んでいるうちは来店のたびに買い求めていました。
残念ながら今はもう店頭で買えなくなってしまいました[もうやだ~(悲しい顔)]

さて台湾といえば先日までNHKで日台共同制作ドラマが放送されていました。

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『路(ルウ)~台湾エクスプレス~』(全3回)というドラマです。

ご覧になっていた方もいるかと思います。

特に鉄道ファンの方などは台湾新幹線の舞台裏を知る機会にもなったのではないでしょうか?
個人的には今一番言ってみたい国”台湾”を舞台にしたドラマ、そして好きな女優さんである波留さん主演ということで見逃すことは許されません。
そして一番私が関心を持ていたのが数年前に原作を読んでとても感動した作品がどのように映像化(全3回という時間枠での脚本化)という点です。

路 (文春文庫)

路 (文春文庫)

  • 作者: 吉田修一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/05/22
  • メディア: Kindle版
原作は吉田修一さんです。
日本の新幹線技術が投入されて開業した台湾新幹線の開業までのドラマということで鉄道に興味がある自分は手に取ったのですが実際は日本と台湾の人々の交流を描いた人間ドラマでした。
台湾がどうしてこれほどまでに親日的なのか?
どうして日本に対する感情が韓国や中国とはこれほどまでに異なっているのか?
東日本大震災の時は他国と桁違いの義援金を送ってくれたことも日本人ならみんな知っています。
自分としては長いこと不思議に思っていました。
詳しい経緯を知りませんがこれからも事あるごとに自分なりに考えてみたいテーマです。
同じアジア系の顔でお互いに島国という点以外にも何か民族的な深いところで日本と共通するようなところもありそうな気もします。
台湾ドーナツを他のどんなドーナツよりも美味しいと感じている自分もいます。

ドラマの方は実際の台湾新幹線もふんだんに登場し台湾ロケも多く流石に国際共同制作と感心させられましたがやはり尺(時間)がちょっと短くて原作の様な丁寧さが薄れてしまった印象があります。
自分としては波留さんの姿が見られるだけで満足なのですけど[揺れるハート]
彼女はかつて夏目雅子さんの役を演じたこともあるけど自分の中ではまさに2代目・夏目雅子といったイメージなのでもう無条件に応援しちゃってます[わーい(嬉しい顔)]
今、自分が結婚報告を知った時にショックを受けそうな女優さんは波留さんと伊藤沙莉さんかなぁ

[かわいい]NHKの番組HPへ(こちら
番組HPによると脚本家の田渕久美子さんも相当苦心されたそうです。
ドラマの方は当面再放送は無いように思われますのでNHKオンデマンドとかでしか見られないのかなぁ(受信料(=番組制作料)も払っているんだから過去作品も無料で見せればいいのになぁ)

ちょっとボリュームがある本ですが原作も読んでもらいたいですね[黒ハート]

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『愛なき世界』三浦しをん 著 [読書録]

三浦しをん さんの『愛なき世界』を読みました。
久しぶりに小説をよみましたね

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東大(※作中ではT大とあるけど東大ですね)・赤門の近くの料理店で大将に弟子入りして料理の道を進んでいる若者・藤丸と彼が好意を寄せ日々植物の研究に励んでいる東大研究室の大学院の女性・本村さんとの恋物語だと思って読み始めましたが・・・
タイトルの「愛なき世界」とは植物の世界のことを指します。
人間をはじめとする動物とは違い愛という感情を持つことなく子孫を残していく植物の世界のことを研究を通じて理解したいという彼女は料理店の若者の告白に対してきっぱりと断ってしまいます。
”恋のライバルが人類だけとは限らない--!?”とは出版元の中央公論新社による解説の一節です。(こちら

藤丸は振られながらも彼女や研究室の人たちとの交流を通じて次第に彼自身も植物の世界の不思議に興味を惹かれていきます。植物への興味が増すにつれて更に彼女への思いは募る一方です。
果たして二度目の告白の行方は・・・といった説明でどれだけの人がこの本を手に取ってくれるかは全く分かりませんが400ページちょっとのボリュームでもあっという間に読み切っちゃいました。(読書感想文は苦手でした[あせあせ(飛び散る汗)]

三浦しをんさんの文体は自分とは相性がいいらしく彼女の作品を読み始めるとあっという間に読み切っちゃいます。

作品の中で院生の彼女が研究対象としている植物がシロイヌナズナというものでした。
ごく一般的に道路わきの空き地なんかにも咲いている植物だそうできっと私も見たことがある植物だと思います。
ネットでシロイヌナズナの画像を調べて近くの草むらを探してみましたがなんだか似たような葉っぱばかりで私には見つけることが出ませんでした[ふらふら]

このシロイヌナズナはこれまでの研究によってゲノム全体の解明がすべて完了した世界初の植物だそうで様々な分野で研究対象となるような植物のモデル生物なのだそうです。
発芽から2か月ほどで受粉して種ができるという短いスパンで育てられるのも研究対象としてはうってつけだそうです。
変異種の交配を繰り返して意図した変異を持った種を作り出す研究の過程で登場するのが今話題のPCRで作品中でもPCRの仕組みや検査方法の描写があります。
文系人間の私には文章だけでPCRの仕組みや使い方を表現されてもイマイチピンとこないのですが
執筆時にはPCRがこんなにメジャーなワードになるとは作者も思ってはいなかったはずですね。
植物学の研究室が扱う研究テーマは基礎研究分野に属するものなので今すぐお金になるという華やかな研究ではない地味で地道な研究なのですが基礎研究こそ大切にしないといけない学問領域だとどこかの偉い先生がおっしゃっていたことを思い出しました。

”好きだからもっと知りたい”というのは研究も恋愛も同じということなのかも・・・
愛なき世界

愛なき世界

  • 作者: 三浦しをん
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/10/26
  • メディア: Kindle版


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悪魔のおにぎり考案者の本「南極ではたらく かあちゃん、調理隊員になる」著 渡貫淳子 [読書録]


あの”悪魔のおにぎり”の考案者で南極観測隊(越冬隊)の調理担当だった渡貫淳子さんの本を町民図書館で見つけて借りて読みました。

南極ではたらく:かあちゃん、調理隊員になる

南極ではたらく:かあちゃん、調理隊員になる

  • 作者: 渡貫 淳子
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


こうした”南極”ものを読むのが大好きな自分です。

渡貫さんのことは「世界一受けたい授業」というTV番組のなかで講師として登場された放送回を偶然見て知りました。
南極観測隊員にも女性隊員がいるのは以前から知っていたので特段”女性”隊員ということには驚きはなかったのですが番組中であの伝説の”悪魔のおにぎり”を実演調理されているのを見てものすごく興味が湧きました。
レシピは食品ロスを出さないという基地での調理の中で残り物の食材を使いまわして活用するというなかで生れた料理だけあって我が家に常備している食材でも作れそうでした。
ご飯に天かすと天つゆ(めんつゆ)、あおさのりなどを混ぜておにぎりにしたものが”悪魔のおにぎり”です。
隊員の夜食用にと考案されたもので”一度食べたら止まらない美味しさ”ということで”悪魔のようなおにぎり”と隊員が名付けたそうです。
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一度自分でも作ってみたいと思っていたらLAWSONで商品化されあっという間におにぎり部門の売り上げNo.1となってしました。
パッケージはちょっと恐ろしい感じです”激辛”と勘違いしている人もいるかと思いますが混ぜご飯おにぎりと思っていただければ間違いないです。
なんといっても価格が手ごろで塩結びと変わらない価格設定。
少しづつ改良が加えられて現在でも販売されているのですが最初期バージョンのものが一番美味しかったような気がします。
それでも棚に並んでいるとついつい買ってしまうほど自分の中ではもはや定番おにぎりとなりました。


渡貫さんの本の中ではこのレシピ誕生の話はさらっとしか触れられていません。
子供がいる主婦が南極観測隊の調理係になって帰国後”悪魔のおにぎり”でひと山当てる(表現が下世話ですが)というシンデレラストーリーっぽく見がちですが本書の内容は南極料理のレシピも少しは記載がありますが一人の女性南極隊員のひと冬の奮闘記で読みごたえがありました。
当時の日記をベースに書かれたそうですが読みやすい文章であっという間に読破してしまいました。
この本の中で渡貫さんが同じ青森県の八戸市出身ということも知りました。
これは凱旋講演会とかがあればぜひ聞きに行ってみたいです。

悪魔のおにぎりと南極流リメイク料理

悪魔のおにぎりと南極流リメイク料理

  • 作者: 渡貫淳子
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2019/02/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
悪魔のおにぎりについてはこちらの書籍の方が詳しく書かれているかも

昨今問題になっている食品ロスですがほぼ1年間無補給で耐え凌ぐ究極の実践現場である南極観測隊基地でのリメイク料理はこれからも注目が集まりそうですね。

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▲八戸港で一般見学中の南極観測船(砕氷船)しらせ(3代目)
観測隊員は日本から乗船するわけでは無く寄港地のオーストラリアの港まで航空機の乗り継いで乗船するそうです。食材は日本から積み込む分とオーストラリアの現地で調圧したもののみで越冬観測中の食材をまかなわなければなりません(無補給)
本書の中で在庫がなくなりもう食卓に出せなくなった食材のことは隊員には伝えないという一節がありました。


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