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新造船 [青森の話題]

4月の中旬、ちょうど私はホタテ養殖の仕事の真っ最中でしたが知り合いの漁師さんの新造船の進水式がありました。
写真撮影を頼まれたので仕事を一時中断してカメラを持って進水式に参加しました。
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完成した船は最新鋭のホタテ養殖船です。
太平洋や日本海、マグロで有名な津軽海峡の荒波の中での操業というのは陸奥湾内ではないので船の形もちょっと違って見えるかもしれませんね。
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進水式では新造船にこのように大漁旗を掲げて飾ります。
大漁旗は親戚縁者、漁師仲間、建造にかかわった人たちからのお祝いの品です。
もったいないようですが大漁旗がこのよう飾られるのは進水式のこの日だけです。
元々ホタテの養殖船なので決められた量を養殖施設から揚げるだけなので大漁になるなんてことはないのですが縁起物なので・・
贈られた大漁旗は最近は小学校の運動会やイベント時の飾りとしても活用されるようになりました。
カラフルで場が華やかになりますよ。

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大漁旗で船体がよく見えないので平時の船の画像も・・・
最近の船はユニック(クレーン)搭載が主流になってきました。


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新旧の船が横並びでの1枚。
画面左の旧船に我々は乗り込んで並走しながら撮影します。
この日はあいにくの曇り空&強風で撮影コンディションはよくなかったです。
こうしてみると船体の大きさに結構差がありますが新造船も5t未満の大きさです。
社労士(資格保有者)の観点からいうと陸奥湾などの特定内水面域では5t未満の船なら労災保険の加入義務がありません。(個人事業主の所有船に限る)
※試験合格から年数が経過しているのでうろ覚えの知識です。


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進水式は神事なので神社の神主さんをお招きしての祈祷がはじまりました。
船上に仮設の祭壇が組まれました(。神主さんが持参)

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このように船上で神事が執り行われます。
船主とその家族縁者や建造に携わった関係者も参列。
内容は家の新築時の建前神事と同じようなことをしていました。

ちょうどこの時期は漁師仲間も自分の仕事で手が離せないので岸壁にはあまり人影が無く少し寂しいです。
コロナの影響もあり保育所の園児が散歩の途中に見学する光景も見られず・・


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操舵室(キャビン)の様子。
各種ディスプレイが並びます。

ちなみに船体はヤマハ製で北海道の関連会社の工場からフェリー経由の陸送。
エンジンは三菱重工製でエンジン取付や電装、漁具取付など各種艤装は私の親戚の工場で引き受けています。
新造船の相場はこのクラスで諭吉5千人以上呼び集めないと・・・


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船上での神事が終わるといよいよ沖に出向です。
離岸の際は舷側のスラスターを使います。

大漁旗の旗竿は竹(笹)を使っています。

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まずは海上での神事の続きということで神社の沖合を目指します。


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神社の沖合では船を3回巡らせて神主さんによる祈祷があります。
新車購入時に神社やお寺に安全祈願をしてもらうのと同じですね。


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最近の新造船の流行は船首部分のこのバルバスバウ。
数年前まではこのような形状の船首を持つ船はこの漁協には1艘も無かったのですが燃費向上が見込めるとかで一気に主流に・・
船体が波を切って進むちょっと前にバルバスバウが先に小さな波を切ってくれるので波の抵抗が緩和されて結果的に速力が出たりエンジン負荷が低減されて低燃費化につながるとか・・
海自の船の場合この部分に各種ソナーが内蔵されていますが漁船の場合、ここにソナーを搭載しているわけではありません。


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この日は風が強くて波も少しあっての撮影だったのでシャッター速度を上げての撮影です。
お互いの船が波で上下に揺れるのでAF(オートフォーカス)がうまく一瞬を捉えてくれているのか心配で連写ばかりだったので小1時間の撮影で500枚以上撮っていました。
この1枚は”水しぶき”、”旗の文字が読めるようななびき方”、”船首の角度”という好条件がそろっていたのですが背景に陸地が写っていたので背景を消す処理をしています。
うまい具合に曇天だったので水平線間際の違和感が薄らいでくれています。

本当は青空の下で遠景に下北半島の最高峰である釜臥山が入るとベストな構図になるのですが・・なかなかそうした好条件に巡り合いませんね


船主さんに撮影画像をデータで渡して気に入ったものを選んでもらい画質調整などをして大判に引き伸ばして進呈する予定です。


撮影中に波(海水)を盛大にカメラも浴びてしまったので接岸後は大急ぎでカメラのクリーニングをしました。(海水は乾燥後に影響が出るので心配)
次回からはカメラ用の防水ケースとかジャケットを用意します。
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本来であればこの後場所を変えて町内の施設で宴会というパターンなのですがコロナの影響で町が施設の貸し出しを中止したのと他の漁師も養殖作業の真っ最中ということで今回は宴会なしになりました。

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