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天草エアラインの奥島(前社長)さんの本 [読書録]

ビジネス書ってあまり読まないのですがちょっと気になる会社なので・・

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この本の内容を簡単に説明すると経営破綻直前の航空会社を救った社長さんの書かれた本です。

プロジェクトXや情熱大陸でよくあるお話ですね。

破綻直前だった航空会社というのが熊本の天草空港をベースにする天草エアライン。
天草といえば天草四郎の乱(島原の乱)程度しか私は知らないのですが地図で見ると現在では九州本土から離島を結ぶ橋で繋がっていますがちょっと大きめの島ですね。
九州で島というと長崎のイメージしかなく天草もてっきり長崎県だとばかり思っていましたが熊本県です。
(島原(長崎県)の乱=天草四郎というイメージもあった)

天草には鉄道目測道路網もなく県庁所在地の熊本市や九州の中心都市福岡市に出かけるのにかなりの時間がかかる地域ということで空路の活用ということになり天草空港が新設されたそうです。
とはいえ空路の需要は限定的と見込まれ参入してくれる既存航空会社もなく熊本県や天草空港に周辺市町村の出資での第3セクター方式での航空会社が設立されました。これが天草エアラインです。
就航当初は利用客も多く順調な船出と思われていましたが実は就航時には大型建設プロジェクトが地元にあっての特需だったようでやがて利用客の減少、コストの高騰により経営破綻直前にまで追い込まれてしまったようです。
この天草エアラインが他の航空会社いや地方コミューター航空と大きく異なる点は使用する機材がたったの1機という点でしょう。

1機しかないので機材に不具合がでればすなわち決行とあります。

不具合がなくても定期点検などでの欠航もあります。

九州という地理的な要件で台風などの強風でも欠航になります。

「飛ばない航空会社」のレッテルは更なる利用客の減少という悪循環に・・・


こうした危機的状況の中で新社長に就任したのが著者の奥島 透 氏です。
JAL出身(JALの熊本支店長も歴任)の奥島氏が如何にしてこの危機的状況を乗り越える施策を講じて企業経営を立て直したかというのが本書のお話。

天草エアラインは従業員100人にも満たない中小企業なので同規模の会社経営者の方にはビジネス書として私のように単純にエアライン好きの人間にとっては楽しい読み物でした。


読んでみると航空会社といえば高度にシステマチックに組まれた組織(大手航空会社)というイメージですが保有機する機材がたったの1機(ATR-42-600型)という”日本一小さな航空会社”ではこれまでの航空会社のイメージが根底から覆されるような話が満載でした。(詳細は割愛)

弱小企業が大手に立ち向かうとかそういう類の話ではないですが読んでみてスカッとする内容です。

第3セクターは成功しないとかよく言われていますが成功しない理由があるからでの失敗(破綻)というのもちょっとわかります。(天草エアラインと真逆の施策をしているからでは?)
親会社(地方自治体)との良い関係もあってこその再建のようです。
役人の腰かけ社長ではこうはいかなかったと思います。(場合によっては今日、この会社はなかったかもしれない)

この天草エアラインも一時は第3セクターの典型的な悪例としてマスコミに紹介されていた時期があります。
でも最近は”頑張る地方エアライン”として紹介されています。

座席数8席というATR42-600は今日も1日10レグ(10行程)という高頻度運行で飛んでいます。


[飛行機]天草エアライン公式HPはこちら[かわいい]


私のFSX(フライトシュミレータ)にも天草エアラインのAI機を設定しています。

ちゃんと実際の飛行スケジュール(10レグ)に合わせて飛んでいます。

Amakusa.JPG

▲福岡空港に駐機中の天草エアラインのATR42-600。

天草の観光名物のイルカウォッチングにちなみイルカの親子のペイント”みぞか”号。

これは期間限定のスペシャルペイントではなくこれが天草エアラインの通常カラーリングです。
天草出身の放送作家・小山薫堂さんの番組内でデザイン募集して採用されたようです。
ATR42-600はフランスとイタリアの航空機メーカーの合弁企業であるATR社の40人クラスのターボプロップ機。
天草エアラインは運航当初のDash-8からATR-42-600に機材更新していますが日本で最初に同機を導入した航空会社です。
現在では鹿児島空港をベースにする日本エアコミューターでも採用されていて同社とは点検時の機材の貸与も受けられるようになったそうです。
そもそもなんで予備機を天草エアが持たないのかは本書に記述がありました。


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左右のエンジンには子イルカのペイント。主翼の上に子イルカの尾びれが・・


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就航路線は天草ー福岡、天草ー熊本、熊本ー伊丹。
熊本―伊丹線は1時間半ほどのフライト時間ですがそれ以外の路線はごく短時間のフライトです。


kumamon.JPG
みぞか号の機体の底部にはくまモンの姿も・・・


日本一小さな航空会社の大きな奇跡の物語―――業界の常識を破った天草エアラインの「復活」

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  • 発売日: 2016/04/08
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こちらはもうちょっとビジネスよりの内容か?
天草エアラインの奇跡。赤字企業を5年連続の黒字にさせた変革力!

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  • 作者: 鳥海 高太朗
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/03/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
天草エアライン復活の立役者の一人であるパラダイス山元氏。
鉄道ファンだけでなくエアラインファンでもあったのですね~
パラダイス山元の飛行機のある暮らし―――年間最多搭乗1022回「ヒコーキの中の人」が贈る空の過ごし方

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日本のエアライン2 04:天草エアライン ATR42-600 エフトイズコンフェクト 1/300

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hanamura

ブフォ(吐血)ブゥ~(鼻血)毎度ビロウでスミマセン!
くまモン見たもん!(ホントは知りませんでした。)
富士山静岡空港に懐疑的でしたが関連企業に再就職!
日本の地方航空の未来に、明るさを見る最近です。

by hanamura (2018-09-30 14:29) 

ma2ma2

天草エアラインは社長から社員まで全て全員で行っていますね!
ATRの新みぞかもJALと提携して点検中はJAL機を借りられるので欠航が少なくなりました(^^)
by ma2ma2 (2018-09-30 17:04) 

Ulitzen

こんばんは~。

こういう地方でのインフラって維持するだけでも大変だろうけど、このまま頑張ってほしいですね。
しかし、このシミュレーター、こんなローカルな航空会社の機体も登録があるんですね(しかもくまモンイラスト入り)。そっちもすごい。

by Ulitzen (2018-09-30 17:51) 

青い森のヨッチン

hanamuraさん

富士山静岡空港も開業前は懐疑的な意見が多かったように記憶していますが今ではLCCのおかげでどこの地方空港も少しずつ活気を取り戻しつつあるのでは・・・

by 青い森のヨッチン (2018-09-30 21:04) 

青い森のヨッチン

ma2ma2さん
奥島前社長は乗客の荷物を運んだり朝一で機体の掃除をしたりしていたそうです。
JACのATR42も機材数が増えてきましたね
by 青い森のヨッチン (2018-09-30 21:12) 

青い森のヨッチン

Ulitzenさん
お久しぶりですね
FSXは今でも各国に熱心な愛用者が多くいるのでマイナーなエアラインの機材も揃っています。
私は国内就航の日本のエアラインはほぼAI機で揃っていると思います。今後はチャーター専門会社以外の国内乗り入れ海外エアラインをコンプリートしてみたいです。
by 青い森のヨッチン (2018-09-30 21:16) 

ぽちの輔

TVで見たかも?
CAさんが地上でも活躍してました^^
by ぽちの輔 (2018-10-01 06:46) 

青い森のヨッチン

ぽちの輔さん
社長以下みなさん手の空いている時間はほかの作業もこなしているようでパイロットも機内清掃(コックピット内)をするそうです。大手ではパイロットは王様だから決してこんなことはしません。
by 青い森のヨッチン (2018-10-01 12:46) 

ロートレー

凄い!天草エアラインのAI機も揃えたのですね

ところで、ブログにコメントして頂いたトリマービットの件ですが
軸折れしたケースは、6mmビットだったのでしょうか
急に怖くなりました。
もう少し詳しく発生状況教えいただければ嬉しく思います。
どうぞよろしくお願いします.^^
by ロートレー (2018-10-02 12:11) 

青い森のヨッチン

ロートレーさん
私が体験したということではなく知り合いの経験談なのでビット径は不明です。アマゾンではなく某昔話のもので中国製だとのことでした。切粉もでるので安全策として防護メガネは必須といっていました。私はE-VALUE?とかいうメーカーのリューターを使っていますがまぁ似たり寄ったりだと思うので眼鏡は必須です。
by 青い森のヨッチン (2018-10-03 18:29) 

ロートレー

詳細にありがとうございます
ちょっと安心しました。
ペンシル型のリューターであれば、軸径は3mmだと思います。
でも、切れなくなったトリマービットを使用し続けると相当な負荷になるので、これからは早めに交換して、用心しようと思います^^

by ロートレー (2018-10-03 22:21) 

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