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『がいなもん 松浦武四郎一代』河治和香 著 [読書録]

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さて、松浦武四郎という歴史上の人物をご存知でしょうか?

”北海道”の名付け親といったら「あぁ」と思い出される方もいるのでは?
幕末から明治初期にかけて蝦夷地と呼ばれていた北海道を6度にわたり調査探検した人物です。
健脚で旅好きの松浦武四郎は初めは個人的興味で蝦夷地を探検しアイヌと交流して知見を深めました。

次第に蝦夷地の有用性(豊富な資源)・重要性(ロシアの南下政策に対抗)が認識されるようにあると公務としてさっらに調査探検をするようになります。

松浦が各地のアイヌが”和人”により搾取され厳しい生活を余儀なくされこのままではアイヌ民族は絶滅してしまうと為政者にアイヌの窮状を訴えるも状況を打開できぬまま自分の無力さに晩年は自ら名付けた”北海道”には足を踏み入れることはなかったといいます。

私自身この松浦武四郎のことを知ったのはもうかなり前の話で池波正太郎の「菜の花の沖」という作品に少しだけ名前が出てきたことがきっかけだったように思います。

その後、彼の生涯を綴った「北海道人 松浦武四郎」という佐江衆一氏の著作を手に取ったのですが大作なのでなかなか最後まで読み切れませんでした。
佐江衆一氏の「北の海明け」という江戸時代に蝦夷地のアイヌを和人化するために幕府によって鎌倉五山の僧侶たちを蝦夷地に送り込み仏教徒へと教化する話にも当時のアイヌの実情が描かれています。
※松浦の時代よりも更に時代は古い話です。
北海道人―松浦武四郎 (講談社文庫)

北海道人―松浦武四郎 (講談社文庫)

  • 作者: 佐江 衆一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/12
  • メディア: 文庫
来年(2019年)は蝦夷地が”北海道”と呼ばれるようになって150年の年に当たるそうです。
明治2年(1869)に松浦が北海道と名付けたとされてからもう150年が建ちます。
節目の年ということで北海道では様々なイベントが開催されると思われますがNHKではこの北海道の名付け親といわれる松浦武四郎のドラマを制作するそうです。(放送は2019年予定・単発ドラマ)
北海道150年記念ドラマ「永遠のニシパ~北海道と名付けた男 松浦武四郎」詳しくはこちらを!
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ドラマの原作ということではありませんが河治和香さんの「がいなもん 松浦武四郎一代」を昨日読み終えました。
初めはてっきりドラマの原作と勘違いしていたのですが読んでみるとなかなか読みやすい内容でした。
もう少し蝦夷地探検旅行の詳細やアイヌとの関りが細かく描かれているのかと期待していたのですが松浦武四郎の入門編といったところですかね、読みやすさという点では夏休みの小中学生の読書感想文には最適だと思います。実際今年の夏休みの宿題で読む子も多いだろうなぁ~
ちなみに装丁のイラストはアニメ監督の”りんたろう”さんによるもので手に取りやすい親しみやすさがありますね。
表紙のイラストの中央に座る人物が松浦武四郎。
隣で紙と筆を持っているのが作中に登場する”おとよ”さん(日本画家でのちに女子美初の日本人教授になった人物で晩年の松浦老人の良き話し相手で物語は松浦老人がおとよに自分史を語る形で進行しています。
作品の中で松浦老人が当初”北海道”ではなく”北加伊道”と政府に進言したいと思っていたという一節があります。
海が加伊とあるのは”カイ”という言葉が古いアイヌ語で「この国に生まれたもの」という意味があるそうです。
迫害を受けるアイヌに代わりせめて土地の名前にアイヌの土地(国)であったという隠れた意味を持たせたかったようです。
今では当たり前の蝦夷(えぞ・えみし)という文字の音読みも素直に読めば”カイ”と読めるともあります。
蝦とはエビという漢字で音読みでは”カ”か”ガ”というのが普通というか蝦夷を”えぞ””えみし”と読むよりも”カイ”と呼ぶ方が本当は普通のような気もします。
ちょっとこれは目からウロコでした。
私の住む青森県も古代は蝦夷と呼ばれた東北アイヌんが多く住んでいた土地で北海道のような変わった読み方をする地名が今でも多く残っています。
近場では尻屋(しりや)、尻労(しつかり)、奥内(おくない)、奥戸(おこっぺ)、浅虫(あさむし)などちょっとアイヌを身近に感じています。

さてドラマの方は松潤と深キョンの共演ということで放送が今から楽しみです。
がいなもん 松浦武四郎一代

がいなもん 松浦武四郎一代

  • 作者: 河治 和香
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/06/08
  • メディア: 単行本

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