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先月(1月)31日に訓練のため小松基地を飛び立った航空自衛隊のF-15DJイーグル1機が基地周辺の海上で消息を絶ち墜落と判明。

2月11日、13日に現場海域を捜索中の自衛隊により乗員2名のご遺体を収容しました。

墜落したのは飛行教導群のアグレッサー部隊と呼ばれる空自きっての精鋭部隊のイーグルでした。
飛行教導隊は文字通り”教え””導く”空自戦闘機パイロットの操縦戦闘技能を向上させる”教官”集団です。
墜落した083号機に搭乗していたのは植田1等空尉と飛行教導群司令の田中1等空佐のお二人でした。
墜落の一報を聞いて”どうやらアグレッサーが墜落したらしい”と知って驚き”群司令も搭乗していた”と知りまた驚きました。
状況から海中に墜落したのは間違いなさそう、海上自衛隊も舞鶴基地から多数の艦船を派遣して捜索にあたっていることが船舶の位置情報をマッピングするアプリで確認できました。
事故発生から一日に何度もこのアプリで海上の捜索状況をチェックしていましたが必死の救援・捜索も空しくパイロット2名の死亡が確認されました。
大変痛ましい事故となってしまいました。

墜落したのはこのトラ模様迷彩(タイガースキーム)の083号機でした。



昨年暮れにはハセガワからプラアモデルも発売になったばかりでした。
同キットは現在入手困難(在庫入れ)でもともと限定品としての製造で今回の事故で恐らく再版もされないのではないでしょうか?
このような機体のカラーリングはパイロットたちが自らデザインして塗装作業も行うようです。
アグレッサー機では自機を目立たなくする迷彩塗装本来の趣旨と異なり目立たせるカラーリングなのです。
ちょうど今年が寅年ということもあり戦闘機ファンの中には年賀状のデザインに使った方も多くいたと思われます。
基地祭や航空祭での展示飛行もありませんのでアクロバット飛行チームのブルーインパルスと比べて地味な存在のアグレッサー部隊です。
ベース基地が石川県の小松基地で年数回、全国の空自基地を巡回しての移動訓練もあるので戦闘機ファンには有名な存在で小松基地に行かなくても最寄りの基地でアグレッサー部隊の雄姿をカメラに収めることも可能です。

#59128;2020年の11月に三沢基地に移動訓練で飛来したアグレッサー部隊の記事(こちら#59130;)
この時は事故機の飛来は確認できませんでした。(たぶん塗装更新作業中?)



事故直前に発売されたJWingsの3月号の特集記事が偶然にも空自アグレッサーでした。
昨年が部隊創設40年の節目ということもありこうした特集記事になりました。



JWings誌の付録ポスターアグレッサーの機体色の変遷史で事故機の83号機(32-8083)の姿もあります。
これによると事故当時のタイガースキームへの塗装変更は2020年12月となっています。
ニュース報道では事故直前に小松基地を離陸する映像も流れていますが空自の戦闘機にこのような迷彩パターンが施された機体(部隊)があることは意外と知られていないようです。
アグレッサーとは”侵入者(侵略者)”の意味で飛行教導隊ではこのような視認性の高い機体色で模擬戦闘時に訓練相手である空自戦闘機パイロットに自らの存在(位置)を示して仮想敵として振舞います。
本来の迷彩塗装とはこの点で趣旨が違うので【識別塗装】と呼んでいます。

エアショーを司る空自のブルーインパルスは広く国民に知られていますがこうしたアグレッサー部隊の存在がパイロットの技量向上には不可欠だという点も知っていただきたいです。



MarinTraffic(ライブ船舶)アプリ上で小松基地と墜落地点(サルベージ船の位置)関係はこんな感じです。
小松基地を離陸後大きく右旋回して基地沖合の海上に至った地点で墜落しています。


同じアプリでサルベージ船の航跡をマッピングしたところです。
右上方の金沢港から現場海域へ移動後に海中に沈んでいる機体を発見。
こうしてみると小松基地から目と鼻の先の海中です。
海面下100mほどの海底で機体が見つかっているようです。
きちんとご遺族のもとにお二人をお帰しできたことに対して、冬の荒れる日本海での懸命な捜索活動に従事された隊員の方々に深く感謝したいと思います。


 そして亡くなられた飛行教導群のお二人に
  これまでのご活躍に感謝申し上げるとともに
            ご冥福をお祈りいたします




亡くなられた群司令の田中一等空佐へのインタビューも記事として掲載されていました。
昨年6月に着任されたばかりでした。

東日本大震災で被災した松島基地のブルーインパルス部隊の震災後の隊長としてもご活躍されました。
TBSドラマ「空飛ぶ広報室」にもご出演されていました。

群司令の下に飛行教導隊長もいるのでトップ自ら搭乗しての訓練をしなくても・・・という意見もありますが現場主義の熱い司令官だったというこなのでしょう。

空自の中でもエリート中のエリート部隊のパイロットが操縦を誤ったとは考えにくいのですが機体の引き上げによる事故原因の究明に注力して欲しいと思います。
ただF-15が担っている任務の性格上、原因究明までの同型機の飛行停止はちょっと無理ですね
領空侵犯機へのファーストコンタクトは最新鋭のF-35Aでもなく今でもF-15が当たっています。
※当記事中の事故概要は記事執筆時点でのものです。