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『日航機墜落 圧力隔壁説をくつがえす』 青山透子 著 [読書録]

こん〇〇は!いつもご訪問いただきありがとうございます。

今回の記事は前回予告していたGOMA展の続きではなく急遽こちらの記事に変更

1985年8月12日の夕刻、羽田発伊丹行きの日航機123便に相模湾上で突如機体に異変が発生。

群馬県山中の御巣鷹の尾根に墜落。
乗員乗客520名の方が犠牲になるという単独飛行機事故では史上最悪の墜落事故となりました。

当時、私は高校1年生の夏休み真っ最中で部活の夏合宿も終わり大手自動車用品店でのバイトに明け暮れていました。
墜落事故当日は月曜日だったそうです。
当時は飛行機の墜落事故というのは今よりもあったように記憶しています。

当日夜のニュース速報で行方不明機はジャンボ機ということだったのでこれはちょっと大変なことが起きたなぁと思いました。

お盆休み直前の国内ドル箱路線ということでほぼ満席の状況、しかも機材はB747ジャンボです。
結局、翌日もバイトが控えているというのに深夜遅くまでTVの報道特番を見入ってしまいました。
山の中で炎が上がっているとの情報もありこれは墜落で間違いないなぁと思いながらもなかなか墜落個所の特定ができなかったのが不思議でした。

翌朝には墜落場所の特定もできて救助隊が山に入るという報道。
朝の9時半にはバイト先に出勤してピット作業補助ということもありお客さんのクルマのカーラジオで流れる救助活動の様子を社員さんたちと聞きながら働いていました。
そんなか奇跡的に生存者4名が救助されるというニュースが流れて思わずみんなで喜び合った記憶があります。
この時の記憶は不思議と鮮明に私の中に今でも残っています。
夏の日差しの強さと、エンジンオイルの匂いもしっかり記憶の中にあります。

結局、この事故は以前に事故機が尻もち事故を起こした際にボーイング社の修理ミスが原因となり圧力隔壁が飛行中に破損、機内の空気が勢いよく機体後部の隔壁を突き破り垂直尾翼の上半分、APU(補助電源)を吹き飛ばし、この衝撃で油圧システムが破断し機体がコントロール不能に陥ったという事故報告がなされました。
いわゆる”圧力隔壁説”とよばれるものです。
金属疲労なんてことも流行りましたね


事故当初から単なる機体不良による墜落ではないのではといろいろな噂が囁かれていました。
週刊誌でも繰り返し新たな疑惑が浮上してこれらの噂が再燃したりもしました。

先日、ある方のブログの書評でこちらの書籍のことを知りちょっと興味もあったので図書館から借りてきて8月12日までに読み終わるようにしました。

IMG_1486D.jpg
タイトルにもある通り事故原因の公式見解の圧力隔壁説を否定する内容のものです。

ざっと読んでみて私が気になった点を簡単に説明すると・・

・事故発生直後から政府内では「事故」ではなく「事件」として扱っていたふしがある
これは外務省のFAX通信文書に手書きでわざわざ「墜落事件」と書き添えてある公文書が見つかったことが根拠(官僚はこうした言葉使いには厳格なので意識的に『事故』と表現)

・垂直尾翼中央部に”異常外力着力点”が報告されていた
事故調査報告書の別紙にこの調査研究報告書が添付されているけどほとんど無視され続けている(上の書籍の表紙カバーにぞの図版がデザインされています)

・当日、相模湾上で海自艦船による新型艦対空ミサイルの実験が行われていた
国内の防衛産業の拡充拡大政策がうたわれていた(防衛予算の拡大)


・機内から乗客が窓の外を撮影したフィルムにオレンジ色の接近する飛行体が写されている
これについては言われてみればなんか写っているけど分析の詳細が知りたいところです。
この点については本書に詳しい説明が無いのが気になる(別の書籍には記述がある?)
オレンジ色(黄色)は自衛隊の模擬弾などに使う色

・当時の中曽根首相の事故を受けての動向が不自然
現地に赴くこともなく予定通り人間ドック入りしたそうです(今のご時世だと危機管理能力が問われますね)実は裏でこの件についての会合があった?

・墜落現場での機体残骸の異常な燃え方
早期に墜落場所を特定して救助隊よりも先に自衛隊が現場を焼き尽くしたのでは?
遺体の歯の奥まで炭化するほどの火力は前例がない(検死に当たった歯科医の話)


以上の点を踏まえて著者が事故(事件)を再現すると


当時、自衛隊の新型ミサイル実験の標的機として実際に上空を飛行する日航123便が択ばれたのではないか?
全日空機と自衛隊機との空中衝突事故(雫石事故)を教訓に自衛隊機は仮想敵機に見立てていた民間機を半官半民の日本航空機にのみにし万が一の事故後の処理でも国の差配が大きくきくようにした(もみ消ししやすくした)
当日、万が一のことが起きても以前に修理を伴う事故を起こした機体であれば事故原因をミスリードできる、しかも機長が身内同然の自衛隊出身者(海自)という条件を満たす便が123便だった。
薬莢を入れていない模擬弾であったが実際に垂直尾翼に大きなダメージを与えてしまった。

墜落場所を隔離して時間を稼ぎ現場を焼き払い証拠隠滅を図った。
圧力隔壁は自衛隊によって細かく解体されてしまった。

日本政府は結果的に事実を把握していたアメリカに以後、弱みを握られ続けることになった。


読んでいて確かに腑に落ちる部分もあるし、ちょっとここまではしないよな~という点もあります。

個人的には自衛隊が民間機を仮想敵機に見立てて模擬弾を発射する実験を行うとは思えません。(満席のジャンボ機なんて考えられません)

こんなとことをして事故になった場合のダメージが大きすぎます。

こんなの映画に出てくるマッド・サイエンティストの所業ですよ~


ただ、この事件についての公式文書の情報公開が進んでいないという話を聞くと何か勘繰りたくなってしまうのも事実です。(アメリカ側の公文書にも非公開を政府が要請しているらしい)

本書でも著者が語られていますが
安倍政権時代に公文書の管理が急にずさんになったといわれています。
モリカケ事件も公文書の改ざんが問われました。
結果的に犠牲者も出ました。
改ざんを指示した人は大出世しました。

記録が無い(改ざん)ということは後に検証できないということ
この点については岸田総理に適正な運用(回復)を期待したいです。

中曽根さんは不沈空母発言なんかで失言家だと思っていたけどこの件についてはついに墓場まで持って行ってしまったなぁ

最期に墜落で犠牲になられた520名の皆様のご冥福をお祈りします。


日航123便墜落 圧力隔壁説をくつがえす

日航123便墜落 圧力隔壁説をくつがえす

  • 作者: 青山透子
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2020/07/21
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日航123便墜落 疑惑のはじまり: 天空の星たちへ (河出文庫 あ 34-2)

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  • 作者: 青山 透子
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2021/07/06
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日航123便墜落 遺物は真相を語る

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  • 作者: 青山透子
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/07/21
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日航123便 墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る (河出文庫)

日航123便 墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る (河出文庫)

  • 作者: 青山透子
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
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タグ:日航機事故
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もーもー

あの時の事故が蘇ります!忘れられないショッキングなニュースでした!生存者も居た事に神様を信じました!
仏様の手、クス、分かります!そんな遠くには行ってないと思いますが・・なぜ、右手取れる様になってるのか??摩訶不思議!!サイボーグは、今時だから良いかしら〜
by もーもー (2022-08-12 11:26) 

mayu

私も読みましたが、情報が徹底的にベールに包まれているので、疑念が漂いますね。ミサイルの誤射だったのでは????と・・・
by mayu (2022-08-12 11:39) 

ハマコウ

わかりやすくまとめてくださり、ありがとうございます。
疑惑にこたえる情報公開をなぜしないのだろうかと不思議に思います。先日、週刊「女性自身」に疑惑に関する記事が載りましたが、それが「しっかり」とした情報公開につながることを期待しています。
by ハマコウ (2022-08-12 14:10) 

hanamura

不謹慎な陰謀論があるんですね。知りませんでした。
まぁ、陰謀論だから思い込む。それにしてもバカらしい。
by hanamura (2022-08-12 14:43) 

ぼんぼちぼちぼち

あっしは、貴記事で紹介されている本のラスト二冊を読んでやす。
明らかに事故ではなく事件だと思いやした。
青山透子さん、よくここまで追跡してくださったなと、頭が下がりやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2022-08-12 15:22) 

kou

当時ペイペイの私は、近隣都市で仕事を終えて帰ろうとしたときにカーラジオで知りました。社内では勤務先トップと一緒でしたが思わず「嘘だべー」と叫んでしまったのを覚えてます。いろいろ言われてますがあきらかに事件だと思ってました。
by kou (2022-08-12 17:25) 

kousaku

いろんな憶測がまかり通っているんですね、事件、事故は検証で明らかに成らなかったんでしょうか?
仮に事件だとすると遺族の方々が気の毒ですよね。
by kousaku (2022-08-12 18:28) 

青い森のヨッチン

もーもーさん
27年経って日航で当時を知る社員はもう2%しかいないそうです。
今日はニュースでもあまり時間を割いて取り上げられていないみたいですね(大雨のニュースがメインだから仕方がないか)
by 青い森のヨッチン (2022-08-12 19:28) 

青い森のヨッチン

mayuさん
お読みになったのですね
誤射だったら大変なことになりますが当時この件にかかわった関係者(現場の自衛官)とかかかわりを持った人間が相当数いるのにこれほどかん口令が効果的に機能しているとも思えないので真相はやはり事件ではなく事故だったのかも?とも思っています。
by 青い森のヨッチン (2022-08-12 19:32) 

青い森のヨッチン

ハマコウさん
本のなかで新たな情報公開請求が進行中とのことでしたので少し期待しています。
ただ相当数の関係者がいるはずなのに事件性を匂わせる発言(失言)をする人がほとんど出て来ないところをみるとやはり事故だったのかなぁとも思ったりもします。
by 青い森のヨッチン (2022-08-12 19:35) 

青い森のヨッチン

hanamuraさん
民間機を標的機にするというのは考えられないことです。
偶然の事故というのなら有り得ないことでもないと思いますが隠し通せることでもないはずだとも思います。日米間のパワーに影響という点ではプラザ合意直前の出来事としては陰謀説もでちゃいますね
by 青い森のヨッチン (2022-08-12 19:42) 

青い森のヨッチン

ぼんぼちさん
私は青山女史に書籍は今回初めて読んだのですが以前に日航機事故の検死をされた医師の描いた書籍を読んでどうしたらこのような事故が起きるのか?原因を知りたいと思っていました。
by 青い森のヨッチン (2022-08-12 19:45) 

青い森のヨッチン

kouさん
事件性を疑いこれまで真相を追ってきた著者もそうした事故発生直後に感じた違和感に突き動かされたいるのだと思います。
中曽根さんがうっかり失言することなく墓場まで持っていかれてしまったのが残念
by 青い森のヨッチン (2022-08-12 19:48) 

青い森のヨッチン

kousakuさん
遺族の中にはやはり事件性を感じている方もいらっしゃるようで副操縦士(当時は機長席で操縦)の身内の方がボイスレコーダーの完全記録の情報公開請求をされています(身内でないと個人情報で非公開扱いなんだそうです)
肉親であれば完全な音声記録を聞けるかもしれないとのことでした。
by 青い森のヨッチン (2022-08-12 19:51) 

八犬伝

私は、入社4年目で
新橋のオフィスに勤務中でした。
労組の委員長が大阪から来ていて
早く終わったので、便を変更して帰ると・・・
事故機に乗りあわせてしまいました。
その日は、専務室のテレビに遅くまで
かじりついていました。

事の真相は、どうなのでしょうかね?
私には分かりませんが
民間機を狙うと言うのは、どう考えてもあり得ないと思います。
by 八犬伝 (2022-08-12 21:34) 

Azumino_Kaku

こんばんは。
衝撃的な事故でした。どうにか真相を明らかにしてほしいですね。

by Azumino_Kaku (2022-08-12 21:51) 

青い森のヨッチン

八犬伝さん
雫石事故があったころは空自機が民間機の飛行コースに進入したり追尾したりということが結構あったそうです。
自動追尾ミサイルが誤って123便を誤認してしまったのか?
そもそも民間機の空路は避けるのではと思うのが普通ですのでこの点は腑に落ちません。
by 青い森のヨッチン (2022-08-12 22:16) 

青い森のヨッチン

Azumino_Kakuさん
公式には圧力隔壁説で落ち着いていますが疑念を打ち消すデータなり動かぬ証拠を出せばいいだけの話なのですが・・
圧力隔壁って墜落現場で自衛隊がその場で解体してしまったというのは疑念を持たれてもしょうがないミスだと思います(証拠隠滅)
by 青い森のヨッチン (2022-08-12 22:19) 

KINYAN

日航機墜落事故は、長女が奥さんのお腹にいて、その日は夫婦で夏の旅行の最中で民宿のテレビで知りショックを受けたので今でも記憶にあります
悲惨な事故でした
心からご冥福をお祈りいたします
by KINYAN (2022-08-13 09:29) 

弐号

興味深いですね。
自衛隊の実験というのは、ちょっと考えにくいですよねぇ。UFOが現れて攻撃した。というぐらい、疑わしい。
怨恨による爆弾テロとか、心身病とかで間違って攻撃したとかのほうが信じられますね。

by 弐号 (2022-08-13 09:48) 

an-kazu

某米系エアライン勤務経験があり、
同連邦航空局の修理資格?を持つ知人から、
この手の暴露本話はすべてデタラメと聞きました。

素人考えでもミサイルが命中するとしたら、
あそこには当たりませんね。


by an-kazu (2022-08-13 15:39) 

青い森のヨッチン

KINYANさん
高1だった自分もこのニュースは印象に大きく残っています。
最近はこの手の国内での墜落事故が起きていないから余計に印象深く記憶に残っているのでしょうか?
by 青い森のヨッチン (2022-08-13 22:52) 

青い森のヨッチン

弐号さん
標的にしたということはちょっと考えにくいですがたまたま訓練域を逸脱したフォーミング中の模擬弾が当たったということは完全に否定はできないかもしれません。
当時の中曽根首相の対応には大きな疑問が残るのが気になるところでもあります。
by 青い森のヨッチン (2022-08-13 22:55) 

青い森のヨッチン

an-kazuさん
狙ってやった実験というのはどう考えても無理がありますが当時の国産ミサイルの性能を考えると誤作動による衝突というのは完全には否定できないかもしれません。
今でも追尾型ミサイルは国産のものはいまいちです。
事故調査委員会の報告書にもある異常外力着力点を完全に無視しているのは腑に落ちません。
by 青い森のヨッチン (2022-08-13 22:59) 

tarou

事故か事件か、事実を知っている人も
長い時間が過ぎて墓場の中に埋もれて
行くことでしょう。亡くなられた方々の
冥福を祈るばかりです。

by tarou (2022-08-14 10:20) 

ライス

こんばんは。
当時、かなりショッキングなニュースでした。
不謹慎な陰謀説は好きではないですが、
もし事件でしたら、隠ぺいをするのは米軍ですので、
米軍(が命令するなど)が絡んでいて、
当時、米軍の救助支援を断ったのもわかるような気がします。
(過去にも米軍の事故現場には何も(命も)残らないですから)
犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたします。
by ライス (2022-08-15 00:32) 

yokomi

この本、青い森のヨッチン さんと同じブログを見て、私は珍しく買いました(^_^;) でも読書は半分で止まっています(>_<)
当時、ニュースを聞いて居て違和感がありました。何故早く助けに行かれなかったのかと。これが基本です。墜落機から制御不能の連絡後、墜落までかなりの時間が有るのに、空港や自衛隊、飛んでいる飛行機等のレーダー等も有るのに、地上からは警察や消防等の目撃情報もあったでしょうに、なんで活かされなかったのか? なのでそこには即救助に...とは行けない理由が有ったのかなと思うのです。先日の週刊「女性自身」は家内に買いに行ってもらったらその日は新しいものに替わっていて残念(>_<) でも見たら統一教会蜜月議員リストが載っていました(^_^;)
by yokomi (2022-08-17 00:39) 

青い森のヨッチン

tarouさん
事故からかなり年月が経つので真相解明がだんだん困難になりつつあります。
ただこんな長い期間、かん口令が敷かれているとしても”人の口に戸は立てられない”という表現もあるように信憑性の高い裏証言が出て来ないところを見ると陰謀説も怪しいと思います。
by 青い森のヨッチン (2022-08-17 09:35) 

青い森のヨッチン

ライスさん
この本では事件への米軍の直接的なかかわりはないとみているようです。
逆に日本政府の対応をすべて知られてしまい以後の両国間のパワーバランスに大きな影響を与えているのではないかという考えのようです。
by 青い森のヨッチン (2022-08-17 09:38) 

青い森のヨッチン

yokomiさん
この本を買われたのですね、私は図書館で借りて来たのでなんか余計にな出費をさせてしまったようで申し訳ありません。
本当に墜落現場の特定の公表があれ程遅れたのはいろいろ勘繰られる要因になっていますね

by 青い森のヨッチン (2022-08-17 09:41) 

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